山本七平とピーター・タスカ?

例のごとくチビチビと追記しそうだが、cocologの過去ログ閲覧性の酷さはブログとして舐めプなのかともかく、メモ。

 もっというと、有識者会議というのは、実質官僚丸投げとなるだろう。
 私は震災以降の日本の維持を見ながら、なんとか日本がもったのは官僚のおかげだと思うし、政党より信頼できた。
 我ながら、自分の政治観と転倒しているとは思うが、これが日本の現実なのだと思うといかんともしがたい

弁当さんが何を思っているのかは掴み切れないけれど、俺の方で個人的に同じ言葉で思う事柄といえば、農林水産省の行動が特に迅速で、情報源のポータルを立てたのもココだったよな、たしか。そのポータルのURLはブクマのどこかに潜んでいるけど、現状じゃ管轄内の情報は東日本大震災に関する情報:農林水産省にまとまってるか。

日本社会の根幹的な問題、特にマンサー・オルソンを参照した"redistributional coalition"(再配分連盟)の問題

 これは簡単に言えば、利益団体のことで、従来は自民党的な政治の問題であり、小泉改革の文脈で論じられていたものだったが、日本の場合、民主党のほうがこれが露出することになろうとは。特に最悪だったのが、郵政改革のぶちこわしだった。

 これに併せて「合理的な無関心」という概念も提出される。オルソンの概念だろうか。再配分連盟が必死になっても、大衆はそこに利害を実感しないので無関心になるというものだ。それだけ言うならどうということでもないが。が、今回の選挙でも大衆の、政治無関心が話題になったが、この考え方すると、むしろ合理的というべきものだろう。
 やや勇み足でいうと、反・脱・卒などの原発に対する政治運動は、結果的に「合理的な無関心」によって抑制されてしまった。おそらく、そのことにいきり立つ一群の再配分連盟が十分な利益を構成できなかったからだろう。もっとも、TPP問題では、逆に再配分連盟が勝利するだろうことは明白でもある。

 金融政策といった、高度に知的な課題において、Webを使った政治関与やIT技術を使った政治意識は、ほぼ無効だと思われる。
 では、有効なのはなにかというと、残念ながら、リバタリアンパターナリズム参照)しかないように思える。
 さらに、自分自身のリバタリアン的な思想と矛盾するのだが、リバタリアンパターナリズムを推進できるのは、実質、知を担える官僚だろう。(日本の大学に知を期待してもしかたないだろう。)
 陰鬱な構図になってしまったが、現代において、特に現代日本では、政治そのものが技術化している以上、その専門性に、大衆・選挙民の「合理的な無関心」は対応できない。

引用元での参照先までリンク張る俺のナッジがもっと輝けと!

 その文脈にTPP・ISDS条項の話があるようにも思える。米英法に依存するよりも、あるいは下敷きとするよりも、より公的なルールが求められるのは合理的なプロセスだからだ。
 なお、日本のこの分野の法整備の不備は、法律の分野が強固な再配分同盟となっているからというのがタスカの議論だった。妥当な見解だろう。

いずれにせよ現実問題として見ると、TPP・ISDS条項については「TPPの議論すらしてはならない」という日本の戦争末期の「敗戦の議論をしてはならない」と似たような空気に覆われている現状では、どの政党による政府でも身動きが取れない。すでに手遅れ状態に近い。手遅れでないとしても、法システムの不整備でいかんとも動けない日本にしてみれば、さほど焦る意味もない。どうにでもなーれの、安逸な状態であるというのもなんだが、考えるだけ困惑する事態になっている。

んで、1番目のリンク先へのブックマーックで見つけた言及:

Midas 第三世界化する日本
「官僚に任せるしかない(どこの党もダメ)」と政治家自身も思ってるから実現性無視な公約を放言してる。これは選挙後に国の支配層とその他が完全分離する流れ。どんな政治的批判も現実の前に役に立たない社会になる 2012/12/01
[B! 自民党] 今回の選挙の、自分なりの基本構図: 極東ブログ
はてなブックマーク - Midasのブックマーク / 2012年12月1日

基本的に、原理原則の話をしているのだと思う、このブクマ。でもさ、震災後の農林水産省の動きとか、官庁内でも最速迅速で、今後考えられる問題にも手を打ってたよ。たとえば、苗床だっけ?それの汚染とか。飼料の汚染ももちろん考えてたし。ほうれん草に使用するフィルムとかもな。

これについては、どう思ってるんだろうかと疑問に思った。

 でだ、すまん、これ、前振り。
 当初の疑問は、これまたタスカのピーター・タスカ『JAPAN2020 不機嫌な時代』(参照)に援用されているマンサー・オルソンの議論である。またしても、"redistributional coalition"(再配分連盟)の話が基点になる。
 簡単にいうと、産業革命と再配分連盟の関係である。
 話がそうでもなくても、まどろっこしくなってきたので、基本要素を挙げておくと、再配分連盟としてのギルドの解体が、産業革命に関連したという問題提起である。

極東ブログ史に残る前振りの長さだった気がする。

この後のジュリスディクションの変化/拡大の話も面白かった。