酸と酸味や雑味と果実味の定義差:日常語と専門用語のズレ

アシディシィと酸っぱさ

一般に言われる酸っぱさや、カップから上がってくる酸の香り――これらを相応までに洗練させたスペシャルティは、どれくらいあるのか?

たとえば、ブルーマウンテンの酸っぱさは、抽出の仕方で調節できてしまう。他方で、スペシャルティのAcidicyは、「調節できる」なんてことはない。

もちろん、調節と言っても程度の差でしかないのだろうが、この2つは別物とした方が、スペシャルティの伝統からすれば整合性がある気がする。

酸と明るさと果実味

「明るい」という形容をもっと使うべきで、これを果実味と説明するのは大雑把に思う。ファンタのような胡散臭い明るさではない。ワインだと2000円ぐらいの果実感に類してそうな質感なのかなぁ。

瑞々しさ:(フレッシュ&)ジューシー

もぎたてフレッシュ以下略とジューシーさは異なれる気がする。

ワインの果実味の裏ルート

基本、甘味なのだと思う。

甘みのグラデーションとしては、

  • コーヒーの甘味、
  • 果実を彷彿とさせる果実味そのもの(おそらくは果糖の甘さの付随効果)、
  • ラニュー糖のような甘さ(蔗糖の甘さ)、
  • チョコレートのような、

という位置づけぐらいで支障もなさそう。

「果実を彷彿とさせる」ってのは、赤のロゼワインにまんまのがあるはず。探すのならイタリアのほうがいいかも。

酸味とシトリックとティピカの香味

冒頭のブルマン系とも関係する。

酸の種類に重ねる価格での変化

雑味の種類:軟水と抽出法まで

抽出で増減する雑味は、スペシャルティの雑味とは事実上関係し得ないと思う。

軟水を使わないと、ぼやけるというか、雑多な感じになるかもしれない。

スペシャルティの雑味定義の真骨頂は、濃度の限界として現れるもの。

雑味:焙煎技術と生豆価格

お湯の注ぎ方で差が出るというような感覚が、商社の豆で理解できる感覚としては限界だと思う。流通選んで1kgぐらい飲めば、理解は勝手に進行するはず。という実体験。

よくいわれるような前半で9割抽出されるという場合、その量が何を意味してるかへの評価がない。最後の部分だけ分離しても、雑味は混ぜられることで初めて目立ちだすという可能性を考慮してないから、それだけでは意味ない。

しかも残りが普通に旨い場合もあり、これは適正抽出の設定値が普通より高い物よりも更に高い。たぶん、コーヒーを一口飲んだ時点で、残りの味を確かめに走る。そういう豆の話も別にあらなければ、話にならない。

これらへ焙煎機のサイズが及ぼすもの

ペーパードリップの感覚

ジグソーパズルって感覚。それが、ペーパードリップの終着点の1つに思える。パズルの正解は1つしか用意されてない。これは原理的にそう設定されてるからであり、パズルの性質。

そしてその設定に乗せられるように焙煎する技術がプロの技。コーヒーは、茶類や酒類よりも論理で味を構成できる範囲が広いのかもしれず、そこが面白いとこ。

だから、ブレンドの面白さは、他の嗜好品などからのアブダクションであり、仕組みとしての可能性でしかないものを現に実現できるかどうか。その勝負の結末が店の腕。高いブレンドのバランスを、店の味覚の佳さや美的感覚の発露として美味い不味いで判断する人なんていない。美味くて当たり前で、美味いだけじゃ物足りない。そういう感覚だから、スペシャルティ基準でブレンドを売るのは大変なことだと思う。